周りの木々の葉が、うっすらと色づきはじめてきました。自然の移ろいが秋を知らせてくれます。秋は実りの季節、収穫の季節でもあります。
春には花見として桜を楽しみます。南北に長い日本では桜の開花時期に差がある為に天気予報になぞらえて桜前線という言葉を使います。秋の紅葉も同じように、紅葉前線と呼び日本の地図上に紅葉狩りが楽しめる時期が表されます。一般的には、10月の下旬から11月の上旬に楓や山漆、銀杏などが赤や黄色に色づきます。寒冷により赤や黄色に葉が変色する風情が日本の秋を象徴するとされ、古来より能、歌舞伎、和歌などにも取り入れられています。芸術のみならず生活の隅々まで日本の四季の変化は影響を与えているといえます。身近で誰もが平等に感じとれる自然美をたくさん受け取りたいものです。
題名に書いた観楓(かんぷう)とは、紅葉狩りのことであり、紅葉を観賞する事です。
紅葉狩りにも情緒ある呼び方があるようです。
初紅葉… 個々人が、その年に初めて見た紅葉
薄紅葉…薄く紅葉し始めた紅葉
照紅葉…秋晴れの陽が降り注ぎ照り輝く紅葉
落葉してしまう前の僅かな時間、葉が命の限りの美を披露してくれている様にも感じます。
また、その後落葉した後も土に隠れている微生物たちの栄養となり、土を肥やす役割を担ってくれるのです。自然が自然の力で再生し春の準備に入るために、葉は次の命の望み葉となるのです。
そんな自然の循環の中、観楓という行事がある日本は素晴らしいと思うのです。
森羅万象に、神の存在を認める古代日本の考えにも通ずる様に、桜見や観楓の美の観賞をすると共に山野を訪れる事は、山や木、自然の精霊と交流する大切さが秘められているのではないでしょうか。
今年の観楓は葉の命の循環にも想いを巡らせてみて下さい。その美しさとは別の深みを感じるかもしれません。