春を告げるふきのとうや芹・タラの芽などが野菜売り場に並びはじめました。
ふきのとうは「春の使者」と呼ばれる山菜のひとつです。ふきのとうが放つ独特の香り成分はフキノリドです。消化液を出すのを助け胃腸の働きを整え消化を促す効果があります。また苦味の成分はフキノール酸というポリフェノールが豊富に含まれ、強い抗酸化作用があり活性酸素を抑制し免疫力アップ効果や精神的ストレス改善効果も期待されます。カフェインの一種である植物性アルカロイド類は余分な老廃物を体の外に出すデトックス効果も期待されます。苦味は蕾が開くほど増していきます。しかし、市販されているものではなく山菜採りに出かけた場合、注意が必要なことはふきのとうの根の部分に有毒成分が多く含まれているため採ってはいけません。山菜採りにおいては食物として安全か?立ち入り可能で安全な土壌か?また、山菜の知識を正確に理解しておくことも大切です。農林水産省のリーフレットでは、ふきのとうと間違えやすい有毒植物:ハシリドコロ・フクジュソウと書かれています。決して自然を軽視しない心構えは自然共生での重要事項です。
私は横浜に住む前に群馬県前橋市に住んでいました。春になると休耕田のわきに自生の芹がたくさん生えているのです。摘んで帰って作った柔らかな芹のごま和えの味は格別でした。群馬県では旬の野菜の美味しさをシンプルに味わうことを学びました。素材が新鮮であるとシンプルな料理の方が手をかけた料理より季節感を感じたりもします。山ウドも家庭的なきんぴらでおかずとして食べていました。今振り返ると豊かさを感じます。ウドには疲労物質を取り除くアスパラギン酸や活性酸素抑制するクロロゲン酸もふくまれている山菜です。
私が生まれ育った別府でも春になると山にワラビやぜんまい・土筆を採りに家族で行く機会がありました。海も近くニイナ取りや潮干狩りも身近な行事でした。山で採った蕨はあく抜きをして茹でたものを橙ポン酢と鰹節でいただくのが好きでした。幼い頃は苦味が嫌いで食べることはできませんでした。。蕨はビタミンEが豊富で動脈硬化予防が期待されています。また、小学生の頃から友達と地域にある小高い板山で土筆を摘んで帰った時、たけた土筆は繊維が硬くて食べられないらしく選別され僅かしか料理してもらえず残念な気持ちになった想い出があります。。袴をとる下処理が心地よく手伝いをしていました。甘辛く含め煮し卵でとじた土筆料理が好きでした。
春に芽吹く山菜はあくが強いのと苦味の成分が強いことが特徴的ですが、これは気温が低い冬の間に代謝が落ち体にため込んだ脂肪や老廃物を体の外へ出そうとするデトックスの役割を助ける苦み成分だといえます。まだ、栄養についての情報も少ない時代から自然の循環の中で食養生として春に山菜採りをし食べる知恵が育まれたのでしょう。それは、四季の変化のなかで生活をする日本人の自然から得た食養生ともいえます。
時代が流れ季節感薄らぐ現代の私たちにも春に向けての知恵のひとつにもなるのかもしれません。春のわずかな期間しか食べられない自然からの贈り物、今年も楽しみです。
こうしてブログを書きながら自分の想い出を回想するとき、幼い頃の自然体験は体の細胞に記憶されているように感じてきます。改めて大切な事なのだと認識し直しています。