襲の色目 夏の植物名より

大阪慶沢園

私が初めて襲の色目を目にしたのは、高崎市染料植物園でした。29年前の事ですが、その繊細さとさり気ない表現には日本人の自然から学んだ奥深く洒落た感性に心震える感動を覚えました。 

襲の色目の資料表紙写真

今回は、その時の資料から夏の植物名を抜粋した襲色目を見てください。

菖蒲

杜若

若楓

資料文章より抜粋

この色目について日本の風土、四季の変化のある土地にあって花や紅葉その他の変化を色目にするようになった。特に四季の移りの変化を色目にしている。北村哲郎氏は、「いつ頃からそうした襲色目に四季の花の名を付すようになったのかは明らかではないが、装束の色目に植物名を当てることは、十世紀末期の著述と思われる源高明の「西宮記」に下襲色目について桜、藤、柳という表現が蘇芳、二藍などという色目とともに使われているから、かなり早くからのことであったと考えられる。おそらく衣服の形状や呼称が中国式から国風に転換した十世紀初頭にさかのぼり得るのではないかと思われる」と「王朝の彩飾」の中に書かれている。

この資料は、十二世紀後期に源雅亮が記した「満佐須計装束抄」の中に女房の装束のいろとして記されていたものの再現。と書かれてあります。

今回は、夏の一部を抜粋しましたが春は萌木の匂い、柳 卯の花 秋は、黄菊 もぢり紅葉、すすき 冬は、雪の下 梅重ね などなど赴きのある表現と襲色目。
日本人の美しさの感性の源流を感じざるを得ない。お洒落心、何かの時に応用したり取り入れたり温故知新を楽しめそうですね。

襲色目も様々な本が出ています。機会があれば素敵な色合わせと呼称を楽しんでみて下さい。